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2011.05.20 (Fri)

開演前の

muro hall2
 5月12日、我々が演奏会を行うのはアルコイから10数キロ北上したところにあるムーロデアルコイと云う小さな街である。

 ここは僕がアルコイに来た翌日に一度訪れた街である。

 特に会場の下見と云うことではなく、この時期アルコイ周辺の街で行われるアラブ人とキリスト教徒の祭りの銃撃戦を模した空砲を詰めた鉄砲を打つ、そのおよそ日本に住んでいる限りは想像もできないような迫力を身を以て体験して欲しいと云うFさんAさんに連れられてきたのだ。

 我々は、祭りの主役である銃を持った人々を捜して歩き回った。

 しばらくするともの凄く大きな爆発音が聞こえてきた。

 我々はそちらの方に歩いて行くと酒を飲んで景気を付けている、尤も酒でものまなければあんなにでかい音のする銃をぶっ放す気持ちにとてもなれそうもないだろうが、若者が大勢いるところに行き当たった。

 ばーん!ともだーん!ともぐわ~~ん!とも何とも表現できない音が我々を襲った。

 我々は耳を塞いで見ていたけれど、彼らが一発銃を打つと、テレビ番組のトムとジェリーで金槌なんかで叩かれたトムの身体全身がびりびりと痺れると云う様が描かれているけれど、まさにそれと同じように銃を撃つ人に向かっている方の半身が一瞬激しく振動するのである。

 僕はこんなに恐ろしい祭りと云うものを見たことがなかった。

 勿論演奏会当日はそんな物騒な催しはなく、静かで、少し天気は雨模様である
けれど、穏やかな日和になっていた。

 実は日本で行った最後の練習の最後にAさんが「アンコールで1曲ソロを弾け」と僕に云った。

 スペインで、アルコイで、ソロが弾けると云うのはやはり楽しさとプレッシャーが相半ばする独特な緊張感を感じるものであって、僕はいろいろ頭の中で選曲を始めた。

 そうして結局タンゴアンスカイなんかがいいかな、と思いそれを弾こうと考えた。

 だが僕の思案をものともせず「カプリッチョアラベ」を弾け、とAさんが付け加え
た。

 カプリッチョアラベとは日本名では「アラビア風奇想曲」と訳され、スペインの大作曲家フランシスコ・ターレガの名曲である。

 本場スペインでターレガのカプリッチョアラベを、しかもアラブと係わりの深いこの土地で弾くのは、さらにプレッシャーの高くさせた。

 それはまるで外国人が邦楽家の前で浄瑠璃を語るようなもので、どう考えても滑稽なことだろうが、どう考えても日本人がスペイン人のようにスペイン音楽を演奏することは不可能だから、真似をすることは止めて、真摯な目と耳で楽譜を読んで丁寧に演奏するしかないと云うことで腹を決めた。

 会場では、現地のAさんの知人である音楽関係者に音のバランスを聴いてもらいながら演奏する場所を決めるところから仕事が始まった。

 会場を縦長に使うか横長に使うか、我々の距離はどの程度離すか、照明はどのような方向にすれば我々が眩しくなく楽譜をはっきりと見ながら演奏できるか、などなどを決めれば、そのそろ開場の時間となる。

 開演は、8時15分だが、おそらく実際には8時半開演となるだろう。

 我々は会場の下の階にある、会場と同じ大きさの部屋を控え室で、静かに着替えをして、調弦をして指慣らしをして、開演の合図を待っていた。
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19:24  |  楽器  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)
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