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2011.02.27 (Sun)

まるで異次元に

 以前教えていたところは、僕の他は英語やその他の外国語や数学などの科目を教えているところであった。

 だからレッスンの合間に事務室に行けば、時間の空いた先生達や事務員がいていつも和気あいあいとしていた。

 事務室のドアの横にはパソコンだかワープロだかが置かれていて、あるとき僕が入っていくとその機械に向かってアメリカ人の先生が何やらをせっせと打ち込んでいた。

 僕はいつものように事務の人と雑談をしていて、いつもの癖で落ち着きなく手足を動かしていた。

 足に何かが当たった感触がわずかにあった。

 「Oops!!」と云う声がわずかに聞こえた。

 「どうしたんですか?」と云う声が聞こえた。

 僕は思わず、足下を見た。僕の靴の先には差し込みの甘くなったコンセントから抜けた電源コードがなんとなく間抜けな表情で転がっていた。おそらく僕が動かした足が電源コードを僅かに蹴って、その衝撃でコードはコンセントから抜けてしまったのだろう。

 そのコードが何から伸びているのかは、確認するまでもなかった。

 口に手を当てたアメリカ人の見つめるパソコンの画面が真っ黒になっていたからである。

 僕は一瞬にして彼が生徒のために苦労して作っていたテキストをこの世から消してしまったのである。

 僕は「ごめんなさい」と云うほかなかったが、彼にその言葉は何の意味もなかった。

 彼は僕に目を合わせず、改めて電源の入ったパソコンに向かってキーを叩き始めた。

 折角苦労して、入力したものが一瞬に消え去った後の、呆然とした気持ち、それは如何なる論理も知識も感情などの一切が通用しない絶対的な無力感と云っていいだろう。

 それが今日の僕を襲った。

 原因の全ては僕にあった。

 何だか分からないけれど、いらないものを消去しようと、それはいつもやっていることであるが、それをいつもの通りやったのである。

 然し妙に消去の時間が長い。

 こんな感じは以前も一度経験した。

 それは携帯電話の設定を初期状態に戻そうとしたときである。

 そのときもなんだか設定を解除するのに妙に長い時間がかかっていた。

 作業が終わったと云う知らせを見て僕は携帯を見た。するとその携帯は、初対面の人のようによそよそしかった。何故ならその携帯は、僕のものだと云う証と云っていい僕のデータのすべてをきれいさっぱりと消していたからである。

 パソコンのゴミ箱が空になったと云う合図があったので僕は、改めてパソコンに向かってやりかけていた作業を続けようと思った。

 ところが、何だか急に彼は僕によそよそしい態度を取り始めた。

 怪訝に思った僕は画面を見入った。

 そこには、其処にあるはずのこれまで僕が書き溜めた資料やブログの原稿や画像などの全てがなかった。

 つまり僕のパソコンには「Nothing」だけが、あった。

 少しして、生徒がやってきた。

 僕はギターを弾いてみせた。

 音は僕の心理状態を表すように調子っぱずれであった。

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